「捏造ミステリーTRPG 赤と黒」のTips集

以下に書いてある文章は全て比良坂右京の個人的な感想です。現状や皆さんと考えていることと違う等あるかもしれませんが、一意見程度のものでしかないと捉えていただけると幸いです。

 

概略

・どれだけ魔術師がレベルアップしても魔力を獲得するためには「脚本を発見する」「調書を成立させる」の2つしか無い。魔力がたまらなければ告発局面で魔法が解禁されないので、序盤が一番魔術師の窮地になりやすく、終盤が一番楽。

・どんな幻想であれ論拠として使えるし、脚本の幻想は真実に比べて発見しやすいので、幻想に傾いている系譜(破綻者)は序盤で活躍しやすい。また、正解ボーナスはかなり強力なので真実に傾いている系譜(追求者)は終盤に向けて活躍しやすい。

・上級宣言の取得はPLが初心者の場合、Easyを強く勧めるべき。(使い減りしないので)

 

つまづきやすいポイント

・ジョーカーは「赤でも黒でもある15」
・戦闘終了時の再初期化でHPは”復元値分”回復する
・告発を選ぶとインフィニティを含めて最大3回魔法が撃てるタイミングがある
(タイミングA→1度目の告発→タイミングB→インフィニティによる2度目の告発→タイミングCの、タイミングが3回ある。[基本ルルブP70最下段参照]個人的にこのタイミングA~Cは独自ルール用語として使っています……)
・制圧攻撃は1度だけ標的表を適応し、その条件のPCの順列の高い順に攻撃する

 

系譜雑感

・追求者

現場再構築、人物再構築のコストが系譜中最安。とりあえず1人いれば調査に困ることはなく、事件の解明に対して大きく寄与できる系譜。戦闘面でも自己完結しており、自己強化(シールド追加、アタック追加、ダメージ増加)、HP回復まで備えているため状況を問わない活躍が出来る。

上級魔法

「探偵アルゴリズム

真実を解明させるには最強の上級魔法。また、公開された脚本全ての魔力を引っ張ってくるという副次効果も大きい。絵札2枚弱という重たいコストだけがネックだが、それを余りあるメリットがある。

「法廷アルゴリズム

秘密の閲覧を踏み倒す魔法。基本的に初期宣言で置いてある一番要求される魔力が高いものはほぼ答えなので、それが閲覧出来れば事件の真相を直接知れる。ただ公開されていないと論拠としては使えない(P73参照)ので、どちらかというと先に真相を知りたいような赤のルールで活躍するかも。

「黄金律」

GMから直接情報を取れるが、PLの閃きに依存する魔法。これで得た情報は論拠としては使えないので注意。(公式Q&A参照)

「幻想破却」

これも想定としては赤のルール用かと。それ以外の使用法を思いつかなかった。

 

 

・守護者

安めの現場再構築と物質再変成を所持。戦闘面ではタンク。味方を守る魔法やシールドが充実しており、ゲームにおけるただ1つの敗北である「魔術師が殺害されて栄光を取られる」可能性を大きく削減することが出来る。個人的にはマイナスを0にする作用がメインのため、いるとあまり効いている感じがしないが、いないと「守護者がいたら……」となる場合が多い気がする。

 上級魔法

「キャッスリング」

防御系最強の上級宣言。最悪の場合全員のHPが半減する盤面干渉を全てシャットアウト出来る。可能な限り序盤もイツワリより先手をとってこれを撃ちたいところ。これを撃てれば守護者の役割を十全に果たしていると言えるんじゃなかろうか

「概念鉄槌」

破壊されてしまったものからは証言が得られなくなるので使い所に悩む。前あった例では密室殺人の密室の壁がこれで破壊されて事件が解決したことがある。(してないけど)

パラノイアスケール」

オブジェクトのスケールを大きくする。これも他のオブジェクトにタッチ出来ないのが難しいところ。

パラノイアレプリカ」

密室殺人の鍵は1つ→鍵は5つあります!みたいな……?

 

・助言者

人物再構築も出来るが、審問宣告、脚本検索などメタで迫る宣言魔法が多め。戦闘としては命綱としての回復を十分に所持。さらに手札補充や手札破壊、魔法のコピーまで兼ね備える。手札破壊に関してはプレイできる手札がないとイツワリの行動手番は消えるので、魔術師たちの生存性も間接的にあげることが出来る。

上級魔法

「パラサイトの摂理」

このゲーム唯一の魔力を加速させる魔法。マナ加速が弱かったことがあるか?(いやない)

ゲームの根源を破壊している強い魔法。是非取るべき。

「エクスチェンジ」

赤のルール向け?使い所がよくわからなかった

コピーキャット

いまだかつてコピー系のアビリティがゲームで弱かったことが……という話だが、意外とコピー先に困る。追求者の探偵アルゴリズムをコピー出来れば最強。他には王権神授あたりだろうか。一応初期作成でも選択肢に入ると思う。

「第三の免罪符」

これも赤のルール向けかと。

 

・逆境者

チャンスが貯まれば大きな活躍が出来るが、チャンスを貯める行動に1手番使う必要があり、更に初期魔力が低いので魔力に困りがち。そのパラメータさえ解決できれば大きな攻撃が出来るので、「どんな窮地でも勝ちを引っ張ってこれる」という役回りだろうか。戦闘としてはサブタンク。チャンスが5さえ貯まれば10ダメージが出るので逆転権限まで行かなくても活躍できないことはない。

上級魔法

「チャンスアップ」

初期作成ではこれしか選択の余地がない。中盤まで2回発動出来ればOK。あとのチャンス2は権限魔法で稼ごう。

「ダブルミラクル」

派手な効果と裏腹にコストとデメリットが大きめ。次の告発局面で先手を落とさないように注意。

「昇格」

魔力が欲しいという命題を解決しなければならないのでその手番を割いて告発局面に備えても微妙な気がする。

パラダイムシフト」

迷宮ルールとかに使えるかもしれない。

 

・破綻者

調査ではほぼ捏造メイン。一応人物再構築も出来なくもないが、序盤の調書を通すような幻想を捏造する役回りになる。事件報告書に書いてあるものやそこに書いてないイメージオブジェクト、キャストを含めて事件を一時的に解決するような幻想の発想力が必要。(いわゆるキャット&チョコレートのような大喜利力)
この発想力は万人が出来るものではなく、ある種のセンスが問われるので難易度が高いのだと思う。(実卓でもすぱすぱ湯水のように思いつく人もいればまったく思いつかず困っている人も見かけた)戦闘では自傷ダメージを基本とした構成。苦痛権限まで手が届けば自傷のダメージすら解決する。

上級魔法

「幻想エンチャント」

使い勝手抜群の宣言魔法。さあ君の力で事件を面白おかしくしよう。コストがアホほど安いのも特徴で、同時に幻想の脚本もあらかた回収できる。

「キャスト抹殺」

派手な効果の割に意外と使い所がなさがち。とりあえず何人かキャストを殺しておいてこいつしか殺人できない!みたいなのに使える。

「惑乱プロトコル

多分赤のルール用。AがBに指示したみたいなのはうやむやに出来るけど……

「パラレル不在証明」

キャスト抹殺と同じようなことが出来る。

 

・君臨者

メタで迫る審問宣告、脚本検索のかなりコストが低い。そういう意味では叙述トリックのある事件に強い系譜。逆境者の逆境権限で引くカードを指定するなど手札入れ替えに関しては思いのまま。いわゆるTRPG脳(誰がどのカードを欲しているかの判断)を使わないといけないことと、やはり最低値を誇るHPがネック。そういう意味で上級者向け。大喜利センスは問われないが戦闘面としては攻撃のすべを持っていないので他の魔術師がいることが前提。

上級魔法

「王権神授」

他の魔術師の手番を増やす→魔力を増やすことが弱いわけない。重いコストではあるがそれに見合うメリットはある。

「世界接合」

守護者がいない(正確に言うとキャッスリングがない)場面だとかなり有用。安定はしないが盤面支援も3択にし、その場で一番欲しい効果を引き込むことが出来る。

「大憲章」

使い所がわからなかった……

「パラグラム禁忌」

これはモロ赤のルールよりかと。

 

テクニック

ポプテピピック戦法

比良坂命名。登場するキャストにしらみつぶしに「お前がやったんだろ!!」と尋ねる戦法のこと。人物再構築や審問宣告で可能。犯人保証のような初期宣言には十分注意すること。後者だと5人いるキャストから「AorBorCがやった」などと狭めることで可能性を捨てることが出来る。

・装着物戦法

比良坂命名。主に人物再構築が使えないが現場再構築が使える魔術師(守護者と君臨者)が使用する。Aというキャストが着ていた服や装着物に対してAにしたい質問をする。オブジェクトの知能は人間並ではなく返答の彩度を下げられることもあるが、有効な戦術かと。

・全員拮抗戦法

比良坂命名。宣言局面で行動順が1位だったプレイヤーは次の告発局面で拮抗した状態になることを狙った戦法。魔術師間で談合をし、同じ数字を全員で出し合う。そうするとGMだけが拮抗しないので宣言局面で1位となり、次の告発局面で行動順が最後になる。中盤、終盤では魔術師が前の局面で1位をとって裏向きで順札を出す場合があるため更に合わせやすい可能性も。全員拮抗した場合もGMが先手になる(P53参照)のため、有用な戦術。

 

マスタリング概略

・捏造ミステリーで初めて開発された専門用語が多いので、順を追ってゆっくり説明すべき。その場での「立ち位置」と「目的」を明確化させるために説明したらいいのかな……?と個人的には思う。ゲーム開始時なら世界観やPCである魔術師やイツワリ自体の説明、宣言局面が始まったら調書やそれの論拠を作るために何をしなければいけないかなど。

・推理ゲームという構成上ともすればGMは意地悪になりがち。全てにおいてPLへの優しさ優先でやると上手くいく気がする。

・宣言局面でなされた魔法によって脚本が少しでもヒットしていたら公開する、どの場面でも事件に対するヒントを欲しがっていたら言ってあげるなど(宣言局面の最初に言ってしまってもいい)

・検証についても、個人的にあまりに筋が通ってない場合を除いて告発は通して魔力を上げたほうがスムーズだと思われる。

 

シナリオの作り方

・無理してトリックのある(それも高度な)事件のあるシナリオを作成する必要はない。GM推理小説作家ではない。

・また、事件報告書の1ページに収まるぐらいと考えると文字数的には1500文字程度の事件が限界。Twitterで換算すると10ツイートくらい。繰り返すが高度な事件をつくる必要はない。

・それでも書けない人は何か発想元を探してそれを参考にするといいと思う。(盗作にならないように注意)例としてはウミガメのスープの問題、短編小説など。それらに限らずテレビの企画や日常のニュース、生活する上で感じた疑問、摂取したゲームに漫画にアニメに……謎やトリック、ひいては問いかけはどの作品でも出てくると思います。どれもトリックの根幹になりうるものが眠っているので、日常生活からも拾えるといいなぁ……なんて。

・死体を置いておくととりあえず「殺人事件なのか」「誰に殺されたのか」「死因は」など、PLに深刻さが伝わってなおかつ調べる対象も楽にわかる。死体は事件を魅力的にする。コージーミステリ(人の死なないミステリ)はシナリオ作成難易度が高い気がする

・参考になるもの

「類別トリック集成」

http://tec.jpn.ph/drama/rampo/shusei.html

・参考書籍にもあるが『ゲームシナリオのためのミステリ辞典』はかなり使える(様々なミステリやトリックの分類が載っていてそのまま使えるものも多い)

・調書に関してもP112の「ハウダニット」「フーダニット」「ホワイダニット」を参考につくるといい。個人的には正解のない調書を入れておくとPC像が深まって面白いと思う。

 

イツワリの作り方

・ルールブックにもあるが「トリックが分かったのに戦闘で敗北する」が一番ストレスなので、あまり強すぎるイツワリは作らない方が良い(あんまり強くしすぎるとトリックを解いた快感より敵の攻撃をなんとかしたという快感の方が上回っちゃうので注意が必要、序盤の盤面干渉で悪い目を引くと全滅するような構成は避けた方がいい)

・戦闘と再初期化の構成上、HPの50%まではノーダメージに等しく、制圧攻撃がそれを担う。50%以上ダメージを与えることが出来る→顕現魔法で容易にダメージを与える構成(例:烙印顕現、搾取顕現、奈落顕現等しか持ってない)、コンボを決めて瓦解させる構成(例:無窮顕現から他の強力な魔法につなげる)は迷宮入りしがちなので注意すること。

・HPを盛って顕現を下げるのも有効かも。

・特に攻撃沢山するタイプは迷宮入りしやすい。バフやデバフは実質一手パスなのでそっちを採用した方がいい。