無限に広がる”奇跡”とゲームとしての”着地点”『輝け!Aqoursぬまづフェスティバル in よみうりランド』の感想

よみうりランドで開催していた『輝け!Aqoursぬまづフェスティバル』に参加してきましたので、その感想を。


筆者の属性としては、「Aqoursのにわかファン(今回のイベントのためにアニメを予習した)」「謎解きそこそこファン(月に2~4公演行くくらい)」で、更には「きださおりファン(今回のプロデューサーの方、情念を揺るがすタイプのイベントを得意としている)」でもあります。

 

再演なし、公式からネタバレが解禁されましたのでその辺ガッツリ書いています。それらを摂取したくない方はブラウザバック推奨。

 

ストーリー抜粋(公式より)

www.scrapmagazine.com

本当に浦の星女学院の生徒がいて、Aqoursがいる。彼女達が立ち向かう試練に、一緒に挑戦できる。
そんなラブライブ!サンシャイン!!の世界にそのまま入れる、あなた自身が「体験する物語」が生まれました。
登場人物はAqours浦の星女学院の生徒達、そしてあなたです。

東京で沼津の魅力を表現する夢のフェスを作ろうとするも、人手が足りず実現が困難となってしまったAqoursは、助けを求めます。その呼びかけに応え、あなたは「助っ人さん」としてAqoursと一緒にフェスを作る決意をします。

あなたの行動が、Aqoursと共に輝く時間を作り上げる「輝け!Aqoursぬまづフェスティバル」。
どんな物語が生まれるかは、助っ人であるあなた次第。
よみうりランドでは、Aqours浦の星女学院の生徒たちが、あなたの助けを待っています。彼女たちと手を取り合い、未完のフェスを完成させてください。

 

概要

3時間程度のイベントです。プレイヤーは浦の星女学院の生徒とAqoursを助ける助っ人になり、現地設営程度しか終わっていないブースを全体協力戦で手伝います。

(例:ペイントの終わっていない真っ白な神輿に青いピースを貼っていき富士山にする、ラジオのリハーサルでAqoursに変わって文章を読み上げる等)

無事にそれらが終わればフェスも堪能できます。
流れとしてはホールに集合して前説、1時間フェスの準備→開催宣言→1時間フェス本番を楽しむ→ホールに戻ってAqoursのライブを楽しむ、という感じ。

ホールで前説やライブや聞いている箇所以外は、どのブースの準備をする、体験するかは全てプレイヤーの選択に任されています。もちろんフェスならではのステージを聞くのもフードを食べるのも自由。

印象としてはオープンワールドのゲーム(例:Skyrim等)が近いでしょうか。

 

(ミニステージの様子。幸いにして参加した当日は晴天。照り返しが熱いくらいでした。)

良かった点

・とにかくリッチ、製作者の原作へのリスペクトにもはや狂気を感じる

チケットを買うと助っ人さんの専用ページにログインできるのですが、イベントの説明、期待感を煽るようにAqoursの19本の数分のボイスドラマを聞くことが出来ます。

(イベント本番、並びに現地でも不都合を感じないように相当数のボイスが撮り下ろされています)

……頭おかしいのか?(褒め言葉)

最後に開催されるライブは勿論3D。セットリストすら変わります。更には浦の星女学院の女学生であるスタッフの練度の高さも特徴的。Aqoursの世界から飛び出してきたかのような掛け合いも魅力の1つでした。

 

・準備と本番でブースの雰囲気が違い、一粒で二度美味しい

準備と本番で、ブース内で体験できるコンテンツが当然ながら変わります。

例えばラジオブースなら、自分がリハーサルで読み上げた文章がそのまま読み上げられたり、その場の都合によってキャラクターのアドリブが入ったり。

自分の作った沼津に関するクイズが読み上げられ、それが出題されたり。

全てのブースが準備と本番で別の層を見せます。同じ空間を使っているのにガラッと体感出来ることが変わるのは面白いと感じました。

 

気になった点

・現実にゲームを混ぜ込ませて着地させている部分があり、不便を感じる

当たり前ですが、世界観を尊重すると、ゲームの登場人物がゲーム内のことしか喋れなくなり、融通が効かない場合があります。

今回のイベントでは、準備や本番時点で困っている浦の星女学院の女学生に対して話しかけ、クエスト(例:ラジオのSEが取れてないので歓声を録音させて欲しい等)を解決すると彼女たちのサインが貰えます。これを3回達成すると名誉助っ人さんに認定、通常の人は立ち入ることの出来ないAqoursの控室に入ることが出来、更にはそこで新たな特殊なクエストを受けることが出来ます。

(いわゆるイマーシブシアターの1on1、ゲームでいう特別なアチーブメントを達成したので特典映像を見られる)

実感として、初見で意識して(時間を割いて)控室にたどり着けるプレイヤーはほぼ五分五分。おそらくフェスをもっと堪能したいとなると絶望的な難易度でしょう。

(会場が広く遠目からその人が困っているかどうか識別するのが至難、だからこそ選ばれたプレイヤーだけがコンテンツを堪能できる、というのは納得ですが)

これがゲームであればアイコンを表示する等やいくらでもプレイアビリティを上げることが出来るのですが、現実ですからそうもいきません。また、NPCに「今は困ってないけど5分後に困るイベントが発生するからまた来てね」と言わせるのもおかしいわけです。

「イベントが話しかけると発生するNPCの頭上にデカいビックリマークを表示してくれ頼む~!!!」

と思ってました。

 

個人的に納得した箇所

上記の気になった点を解決しているなぁ、と思ったのが善子さん堕天使ヨハネ様の「NUMAZU堕天占い」のブース。本番では3つのカードの中からピンと来た1つを選び、堕天使の予言を授かることが出来ます。

この内容、先程の困ったNPCがどこにいるかのヒントになっています。ゲーム的なプレイヤーに対するヒントの出し方として違和感がなくて納得。世界観を壊さないアドバイスとしてとても上手でした。

 

(これが実際の占いの内容。「大いなる門」→入場ゲートに行くと困っているNPCがいる)

 

まとめ

イベント主催であるSCRAP社の「体験する物語project」の第一弾を切った『輝け!Aqoursぬまづフェスティバル』でしたが、個人的には参加できてとても満足でした。

3時間という長尺のイベントにする、原作ファンに対してターゲットを絞るという挑戦的な試み(基本的にSCRAPのコラボもののイベントは原作未読でもそこまで置いてけぼりにならないように作られている)もありましたが、それらは見事成功したと思います。

次にどのような世界がこの世に広がるのか。

そんな”奇跡”を早くも待ち望んでいます。

 

(SUKI for you, DREAM for you!を聞きながら)