「捏造ミステリーTRPG 赤と黒」のシナリオ作成術

皆さん、捏造してますか?(挨拶)このエントリでは、「捏造ミステリーTRPG 赤と黒」の自作のシナリオを作成しようとする方の一助になるよう、普段自分が作成する上で気をつけていることをまとめました。比良坂なりのマイルールかもしれませんが、シナリオ作成で煮詰まっている方はぜひ参考にしてください。(比良坂個人は現在3作品作成、俺を超えるのはお前だ)

1.大上段に構えなくていい

まず第一に、シナリオを作ろうとしている貴方は何でも無いただの普通の人です。
……そうですよね?東野圭吾米澤穂信はやみねかおるがここを読んでいるわけではありませんよね?
つまり、貴方はミステリー作家ではありません。
「プレイした皆が納得するようなちゃんとしたトリックを作らないと……」みたいな気負いは捨てましょう。
素人の作ったトリックですから、そこまで身構える必要はありません。
気楽にTRPGを楽しもう、でいいんですよ。

また、「トリックが全然思いつかない……」という人。
謎は、貴方の日常にも必ず潜んでいます。
例えば通勤中、見慣れない広告を目にした時。見慣れない装飾品を身に着けている人が居た時。いつもと違う、変わったものを目にした時。
「どうしてそういう風になっているのだろうか、あれは何のために必要なんだろうか」
という疑問を拾い上げるのはとても重要です。その疑問の一端から、ミステリーは生まれます。

些細なことを真剣に考えるかバカにするかどうかなんです。

一見くだらないことでも、いったんは真面目に考える。

東野圭吾,『ミステリーの書き方』P.40)

2.謎は解かれるためにある

「捏造ミステリーTRPG 赤と黒」は、謎を解いたときの気持ちいい感触を体験することが出来る、これまでにない稀有なTRPGシステムです。
つまり、「ひらめいた!解けた!気持ちいい!」 という感触をPLに与えられれば貴方の勝ち。

逆に以下は確固たる意思が無い限り避けたほうがいいです。

・1シナリオに収まらないほどの膨大なトリックを解かせる

動線も伏線も何もないトリックを解かせる

・敵がはちゃめちゃに強い

1つ目はPLは既にTRPGをやっている(キャラクターの運用をしている)のでの脳内メモリが減っていることに注意が必要です。推理小説を読んでいるのとは訳が違います。また、2つ目は理不尽さを避けるという意味です。3つ目の敵の強さに関しては後述しますが、「謎を解いた快感」よりも「強い敵をいなした快感」が強くなってしまい、謎解きのアハ体験を超えてしまうのが問題になってきます。

 

3.コンセプトをはっきりさせよう

ここでいうコンセプトとは、GMが「凶器のありかに気づいてほしい!」「このトリックを解くためにこういう質問をしてほしい!」「山荘大好きだからクローズドサークルの事件が書きたい!」「この顕現魔法を使いたい!」「PLをびっくりさせたい!」

という目的意識のことです。出落ちでも何でも可で、それがテーマとしても機能しますし、PL、ひいては自分がプレイしたときの面白さに繋がってきます。

 

4.調書と脚本から書こう

これは個人の嗜好があると思うのですが、自分は調書と脚本から書くのをおすすめしています。特に調書はシナリオで「PLに暴いてもらいたいトリック」「シナリオの雰囲気」の根幹に関わってくるため、最初に取り掛かった方が無難です。また、脚本はシナリオの情報の断片となります。それを寄り集めて事件報告書を書くのがスリムかつ執筆者の負担の小さいシナリオを書くコツです。
逆に事件報告書から書くのはおすすめしません。(書いたことを全部拾おうとして膨大な数の脚本が出来かねない)
また、調書と脚本と事件報告書と敵のデータさえ出来ていればシナリオは回ります。個別の導入を考えなくても魔術師はイツワリ討伐のプロジェクトに参加しなければならないのですから……

 

5.敵は弱くしよう

4人PLで、なおかつ全員が初心者であることを想定すると、虚偽級のイツワリはややオーバースペック気味に強いです。十全に顕現魔法を撃てて、なおかつ攻撃のランダム対象がマズイところに飛ぶと敗北しかねません。ルールブックにも記載してありますが、謎解きが面白いゲームですので、謎が解けたのに戦闘で負けた、は好ましくありません。
敵を作る際は「虚偽級よりも真理を減らす」、「威力を下げる」、「回数を下げる」、「顕現を減らす」、「使える魔法を減らす」、「使える魔法間でアンチシナジーがある」等、これらの2つぐらいを適用するくらいで丁度よいです。弱すぎるくらいで結構。(もしくは虚像級で作るなど)
(個人的雑感ですが、ダメージ型と攻撃強化型か支援型の間でシナジーが組まれると、敗北のリスクがかなり上がります。[【烙印顕現】+【幻力顕現】、【搾取顕現】+【交錯顕現】等]PCたちが敗北するただ1つの理由はイツワリに殺害されることなので、そのようなイツワリを作成する際は攻撃のパラメータは特に控えめにするのがコツです)

 

6.GMする日程を決めよう

ここまで読んで少しでもやれそうな気がしてきた貴方。

捏造ミステリーを立てる日程を決め、呼びたいPLに対して連絡しましょう。(もしくはSNSで卓募集をしましょう)

人間を強く動かすのは締め切りです。また、締め切りのないタスクはいつまで経っても終わりません。日程を決めると、それまでにシナリオを書く!というモチベーションが生まれます。

日程を決めましょう。今すぐに。今すぐにです!!!

 

最後に

シナリオが出来たり捏造ミステリーで遊んだらSNSつぶやいてくださると嬉しい。
なに、GMする日が来たのにシナリオが完成しなかった?

 はい、この中から任意のシナリオを使いなさい。